就学について     −ふたばの会就学相談会に参加して−
北沢地域 S.

 小学校の就学を控えて、普通学級か、特殊学級か、就学猶予か等いろいろ思い悩んだことが思い出されます。それ以上に「給食は一人で食べられるか」「体育の時間の更衣は・・」「トイレは大丈夫か」「登下校は・・」「プールは・・」次から次へと不安にかりたてられ焦っていました。でも、現実は、「案ずるよりも・・」で娘はそれなりにやってくれました。でもフルタイムで働いていた母親は、入学後いつもアンテナを娘に向けつつ働いていましたので、一人疲労困憊していました。ふたばの会員にとっても「就学」は「ダウン症と告知」を受けた時以来の大きな問題のようです。各家庭に就学時健康診断のお知らせが届き、受診するか、しないか、また就学相談を受けるか否か、具体的な行動選択がこれから始まります。

〈ピンチをチャンスに〉
 「就学」を大きな障壁と考えますか。逆に「就学」を好機と捉え活用してみますか。実際に両方の立場の方たちがいます。この意識の差は何なのでしょうか。「障害児教育に関する地域資源の豊かさ」「両親の性格・人生観」・・・関係するかもしれませんが、次の3つの点はぜひ押さえた上で、これからの行動を選んでください。
  • 自分の子供が就学できる学校・学級について詳細な情報を持つ
  • 就学先を決定するまでの手順と大まかなスケジュールを予測する
  • 学校は子供の長い人生のうち、一時的な、そして一部の利用できる資源であることを認識する
 これから就学相談や学校関係で出会う専門家は障害の種類や程度についての知識を持っている人達だと思いますが、我が子についての知識は一緒に生活している家族(両親)がはるかにたくさん持っています。まずは、我が子について、できること、できないこと、問題点、問題解決のための方法など親としてまとめておく必要があります。その上で学校、学級を決めなければと思います。

〈見通しを持った子育てを〉
 「就学」・「学校」に関する情報は我が子が小さい頃から意識して収集してきました。ふたばの会に入って良かったのは、いろいろな方達の進路選択、育て方、育ち方を見ることができたことです。我が子に対して、どう対応するか、育てるか・・見通しを立てることができたことです。私は娘の小学校就学に際して、社会で生きていく上で(決して、学校で生きていくではありません)読み・書き・そろばん(計算)が身につくといいなと思いました。毎日の娘の様子を見ていますと、その歩みは本当にゆっくりですが、確実にステップアップはしていました。世の中の子供は小学校いや小学校前に読んだり書いたりしていますが、娘は20歳くらいになるまでに読んだり、自分の思いを書いたり、ちょっとした計算ができるようになったら・・・長いスタンスで彼女に接していこうと・・。

〈普通学級で得たこと〉
 娘は小・中学校を地域の普通学級で過ごしましたので、普通学級しか経験が無い場合の一例としてお読み下さい。娘は学校で勉強をする姿を学んだようです。机に向かって勉強する姿、遊ぶのではなく勉強する姿です。親から離れてわけのわからない所で毎日、自分の場所があり、いろいろな人達が声を掛けてくれる心地よさを感じ取ったようです。9年間ほとんど休まず通学しました。それは真面目でした。親もいろいろ作戦をたてながらの学校生活でした。
 その一つ「勉強しなさい」と言わない。教えてと言うまで教えない。また、常に体が疲れたら学校は休んでいいと言い続ける。彼女の話に出てくる先生やお友達のことはできるだけ自然に夫婦で大きな声で褒める。家でいろいろ計画を立て、学校を休んで行こうと誘う、いつも彼女が学校があるから行かないと言い、親は大げさに残念がる・・・何故そんなことをしたのか・・彼女が自覚できないうちにストレスが溜まっているのでは・・、友達とコミュニケーションできているか・・等の点検のためだったと思います。学校に行くのは親に言われたから行くのではなく、自分の意志で行くという自覚にもつなげたかった・・と思います。
 人間、「形から学ぶ」は、後々大きな力となって発揮されることを彼女によって知りました。現在、10年続いている公文の宿題を時間のある時はいつでもやっています。少しずつ内容が深まっています。プリントの字も小さくなり量も増えてきました。英語の発音はネーティブなものです。

〈義務教育から得たこと〉
 学校では成長の早い人達の中にいて、一番下の妹のように面倒をみてもらったようです。クラスの仲間は友達というより保護者のように思っていたようで、先生より、何でもお友達に教えてもらっていました。小・中学校とも1クラス40人近い学級でした。学校はまた、やり抜く努力、我慢すること、自分の気持ちをコントロールする場として彼女にとって大きな意味があったと思います。その結果、やったという充実感と自信は自分を認める力になり、言葉もおおむ返しのように耳から入った音を口から出す言葉から、心の中に入って、彼女の心を通過した言葉に変わってきたことが感じられます。親として、大きな喜びを感じる時でもありますが、その反面、否定しながらも障害という枠の中に我が子をはめていたのではと思い当たります。親が思っている以上に内面的な成熟を認めなければなりません。学校での経験が大きなウエイトを占めていたことは言うまでもありません。

〈我が子にとっての教育〉
 我が子の教育で何が一番かと問われたら、子どもの持っている力を引き出してやることだと思います。学校に行くことはそれを見つける一方策です。娘は自分の世界を表現する絵を描くことをみつけました。まだまだ過程ですが、義務教育9年間で子供の力を引き出し、環境を整備し、次の進路につなげることの重要さは大きい人を育てている親御さんにはおわかりだと思います。
 話しはそれますが、親として、我が子に対する受容(受け入れ)が子どもの成長と共に変化していることを実感します。生まれた時は何が何でも受け入れて、一生懸命育てるのだ・・と本当に力んでいました。この子のために親として何ができるか・・・。今、思うと娘にはありがた迷惑だったかもしれません。それが、娘の成長に伴い、少しずつ親自身の中でも自然に変化し、娘と一緒に生活することが喜びになっています。彼女(ふたばの会の子ども達)の持っている力は凄いです。悔しいくらいです。近頃、何か決めなくてはならないことなど意思決定する時、彼女の意見を聞いている自分を発見する時があります。やっと、肩から力が抜けて来たのかもしれません。

〈最後に、就学される方の親御さんへ〉
 さあこれから始まります。肩から力を抜いて(と言っても無理かもしれませんが、意識して力を抜いてみて下さい)、どのような対応があるか。予想通りか。想定外か。ちょっと楽しみながら進んでみましょう。必ずノート1冊用意して、これから経験することを片端から記録して下さい。何処へ行くにもそのノートを持って、他の人と話す時は必ずメモを取りながら聞き取って下さい。そして、問題に直面した時はメモを読み返し、頭の中を整理してから相談して下さい。最後に就学を決めるためのチェックリストがありますので、必ずチェックしてください。


  《就学を決めるためのチェックリスト》
  1. 選択できる学校・学級の種類を知っていますか。
  2. 地域のどこにその学校・学級があるか知っていますか。
  3. その学校・学級までの通学にどれくらいの時間がかかるか知っていますか。
  4. その学校・学級は普段どんなことをしているか知っていますか。
  5. 地域の学校について詳しい人やこれまでの子どもの成長を見守ってくれた人と就学について相談しましたか。
  6. 学校・学級見学を行いましたか。
  7. 就学先について家族全員で話し合いましたか。
  8. 就学相談の前に伝えるべき両親の希望を決めましたか。
  9. 就学相談の担当者の名前を聞きましたか。
  10. 就学相談の時両親の希望を伝えましたか。
  11. 就学相談で薦められた学校・学級と、そこを推薦する根拠をメモしましたか。
  12. 就学相談で薦められた学校・学級の教育内容について説明を受けましたか。