難聴のある子を育てて
烏山地域 K.

 10月28日、赤ちゃん体操に顔を出して…久しぶりに沢山の赤ちゃんに会いました。
 ミルキーのメンバーに、難聴があり、すでに聾学校に通っている方が数人いると聞き、何かお話ができたら…との思いで参加しました。赤ちゃんのエネルギーは大きいですね…そしてご両親の熱い思いに包まれて、私の方が元気をもらいました。…ありがとうございました。

 わが子は男の子で青鳥養護学校の高校3年生です。3歳の頃に難聴がわかり、左耳にだけ補聴器をつけています。右耳はほとんど聞こえませんが、カンの良さであまり不自由なく暮らしています。難聴のある子を育ててきた中で感じた事などお伝えしたいと思います。耳の聞こえに関係なく子育てには共通する大切なことがあると思ったからです。息子は難聴のおかげで身についたことがとても役立っていると思います。

 基本的なことですが…会話をするときは必ず相手の顔、目を見て、「伝えたい思い」を表情にハッキリ表わします。一言だけでは理解できたかわからないので、言い方を変えて身振り手振りをつけて伝えます。時に絵を描き文字を添えて、写真カードもよく使いました。耳から入ってくる情報が乏しい分、五感をフルに使ってわかるように、本人も親も工夫しました。

 外出するときはカメラを持ち歩き、乗る電車やバス、行く先の建物、担当の先生などを撮ってカードにして覚えました。今は自分の携帯で写真を撮って、初めての道を覚えたり、待ち合わせの場所の確認に利用しています。一人で出かける時に役だっています。目で見て確認することが習慣になっています。

 わからないことや、いうことをきかない時は、こちらの伝え方が不足しているのだと思って、あの手この手でわかるように考えました。コミュニケーションとは言葉だけでなく、その場の状況を読み、相手の気持ちを汲み取ることが大切だと教わったと思います。おかげでとてもカンの良い子に育ち、相手の表情を読み、気持に寄り添う優しい子だといわれて、友達に恵まれています。友達こそが息子の宝物です。表情が豊かなので、ムードメーカーとしてもかわいがられています。

 息子が生まれた時、ふたばの会の先輩ママにこう言われました。「素直な、誰からもかわいがられる子に育ててね…」
 よくダウン症の子は頑固だと言われますが、最初から頑固なわけではないと思います。小さい頃、本人に説明したり聞いたりせずにどこかへ連れて行ったり、決めたりしていなかったでしょうこの子にか…「イヤ」というのに無理やり従わせたことがあったと思います。どんな小さい子にも「イヤ」には理由がある。拒否するのは、わからないから。どうしたらこの子にわかるように伝えられるか…と工夫して今日に至っています。気分が乗らない時もあったでしょうが、親の熱意に応えてくれたようです。

 難聴のおかげで息子の性格は慎重で穏やかになったような気がしています。そして私も…息子のおかげで感謝して前向きに生きています。