講演会「成年後見制度について」を聞いて
世田谷地域 Y.

 5月16日の総会後、堀江まゆみ先生による講演「成年後見制度について」を聞きました。子どもが小さいうちは、目の前の療育や学校のことばかりに目が向きがちですが、”卒業後”も現実味を帯びてくると、親亡き後の生活に対する不安も出て来ます。悪徳商法に引っかかったり、残した財産を誰かに騙し取られたり、契約ごとでトラブルが起きたり。。。心配はつきません。「判断能力が不十分な人が、不利益を被らないために法律面や生活面で保護したり支援する制度」である成年後見制度は、今から勉強をしておきたいことの一つです。

 皆さんは、後見人というのは今までの親の役目を担ってくれる人だと思っていませんか?そして、後見人さえ付ければ親亡き後も、安心できると思ってはいませんか?私はそう思っていました。確かに後見人は、法律上の契約や財産に関する様々なトラブルから、私たちの子どもを守る一翼を担ってくれます。でも後見人の役割は契約行為や資産管理といった「法律上の支援」に限定されています。地域で安定した生活を送るためには、一方で日々の生活に必要な「福祉サービス」もまた担保されていなければなりません。先生が最初におっしゃったことは、その子を支えてくれる人垣をどれだけ作れるか?インディビジュアル・アドボカシー(個々人による権利擁護)が一番大切だというお話でした。

 つまり、(1)その子の周りの人間関係の構築(支援者の人垣) (2)福祉サービスの入り口を作っておく。そしてその先に、どうしてもの難題が起きたらそこに後見人が必要になってくるのです。最近では、福祉や法律を勉強した若い人が後見人になっているケースも増えているそうです。そういった意味では、「いつかこの人が成年後見人になってくれるかも」というまなざしで、地域の人や関わってくれる人たちを育てていくことも、親の大事な務めだということになります。

 さて、後見人は、判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3種類があり、どの類型になるかは医師、申立人の意見を聞き、裁判所が判断します。類型の事や、後見人の仕事である「身辺監護」「財産管理」その他については、堀江先生からご厚意で頂いたハンドブックをご覧いただければ、詳しくとてもわかりやすく書いてあります。  類型によっては、本人が行う法律行為が全て後見人に付与されるもの(例えば「後見」類型になると選挙権がなくなる)、また、いったん後見類型と判断されると、保佐や補助に変更することはできないなど、本人の権利が奪われたり、使いにくい制度としての側面もあります。ですから、いざとなった時の正しい判断の為に、じっくりと時間をかけて考えていく必要があります。

 成年後見人制度申し立ての用紙は、福祉協議会や家庭裁判所でもらえます。まずもらってみることからはじめても良いかもしれません。そして、ゆっくりと時間をかけて勉強していきましょう。

 では親の会としてできることは何でしょうか?質疑応答でも出た意見ですが、一番現実的であり、親の会だからこそできることは、この制度が本人たちにとって、もっと使いやすい制度となるように、行政に働きかけていくことではないかということでした。
 最後に、お忙しいところ、ふたばの会の為に講演をしてくださった堀江先生、本当にありがとうございました。



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