28歳になります
烏山地域 T.

 こんにちは。息子は7月の誕生日で28歳になります。現在、企業の社員食堂に勤務し、食器を洗う仕事をしています。

 6月号のNさんからのお便りを、つい息子の出産当時に重ね合わせながら拝読いたしました。私も病院では、夜中にも関わらず母乳を搾乳し、ほんの少ししか採れないのに「少しでも栄養をつけて元気に成長してほしい」との思いを込めて、毎晩新生児室へ届けていたことが思い出されます。
 振り返ってみますと息子は合併症はないものの、0歳の時、体が弱くて風邪ばかりひいていました。私も仕事と病院通いの中にあって夢中で育てて来ました。障害を持つ人に対して、社会にはまだまだ無理会で厳しいものがあり、保育園・小学校・中学校・その後も、ひとつひとつの事に一生懸命取り組まざるを得ませんでした。
 大変なことも沢山ありましたが、そのことによって家族の絆が深まり、周囲にも理解・協力の輪が広まりました。私たちを支え、ともに社会に向かって啓発活動をして下さった方々の中には、「有意義なことに関わらせていただきありがとう」と言って下さる方々も多くいました。

 常に議論しあっていた小学校の先生は、卒業時に「お陰さまで、本当に色々勉強させていただきました」とおっしゃって下さり、同じくいつも意見交換していた中学校の担任の先生は、ご自分から望まれて、養護学校へ転勤されました。(息子は小、中は普通学級に在籍しました) 高校卒業後、1年間関わって下さった福祉畑にいらした方で、「もう一度障がいをもつ人たちのことを勉強し直したい」と仕事をやめて、大学院に行かれた方もいました。
 息子たちに関わって下さったことで、障がいについて、より深く追求しようとされている真剣な生き方には、とても感動させられ、また大変嬉しく思いました。仕事においても日常においても決してスムーズなことばかりではありません。皆同じように様々な葛藤や悩みはあっても、彼らと接していく中で、価値観、人生観が180度変り、今や彼を我が家に授かったことを幸運だったと心から思っています。

 さて、Nさんが6月号に書いて下さった、息子の桜小学校でのコンサートですが、娘さんへの告知へのきっかけになったとのお話、少しでもお役に立てたのかなと嬉しく思いました。時々やらせていただいているコンサートは、ダウン症やハンディをもつ人々に対し、少しでも理解を深めていただけるきっかけになればという願いを込めて行なっています。
 彼が中学2年生の頃のこと、ふたばの会のXmas会にお呼びしたパーカッショニストの方に大変刺激を受け、興味を持ったことが彼のパーカッションとの出会いとなりました。 最初のうちは、「楽しくやれれば良い」という思いで習い始めましたが、次第に息子もただそれだけでは物足りなさを感じている様子だったので、少しずつですがレベルアップを目指しました。

 今では学校コンサートなど、プロの方々のご協力を得ながら、先生方が決めて下さった曲目を、マリンバとパーカッションのアンサンブルで演奏しています。また時には、彼の好きな選曲でホームコンサートもおこなっています。関心を寄せて下さる方々にもお越しいただき、息子にとっても楽しいひとときを作るようにしています。4月には”マイケル ジャクソン トリビュート”として、大好きだったマイケルの曲ばかりでおこないました。
 演奏活動は、彼の日常に楽しみと、何かチャレンジできる課題があればという思いを含みつつ、あくまでも余暇活動として続けています。これからも生活がマンネリ化しないよう、色々なことに挑戦する機会を見いだしてあげられればと思っています。



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