就学相談会報告 −子どもの立場に立った就学選択を−
研修担当 .

 9月11日、福祉センターで就学相談会を行いました。お子さんの発熱等で2名の方が参加できませんでしたが、31名が参加し、3時間以上にわたって、意見交換ができました。前半のパネルディスカッション、後半の分科会の様子を報告します。

【パネルディスカッション】

 就学猶予・特別支援校・支援学級・普通級を経験または現在在籍している4名のパネラーから。進路決定までの経緯、関係者の対応、子どもの様子等それぞれの立場から話をして頂きました。

就学猶予:1年間の就学相談を受け、手術後の後遺症による通院、リハビリの状況にも拘わらず、なかなか結論は出ず、最終的には医師の診断書と親の強い意志で猶予ができた。現在は、学区の普通級に在籍し、毎朝、友達と登校し、地元の学校の良さを味わっている。

特別支援校:小学校1年生。現在のクラスは3名。指導者も意欲的に働きかけてくれるので、子どもも前向きに少しずつ出来ることが増えてきた。親に対しても、家庭で子どもにリハビリ的働き掛けの仕方の指導があり、積極的に教えてもらっている。
支援校は指導者が個別に関わってくれるメリットがある半面、健常児との接触が殆どなく、それをどのように補っていくかが課題。地域の学校のBOPに問い合わせたが、受け入れてはもらえなかった。学区の学校との交流を意図した副籍という制度があるが、最初、意味がわからなかったので、副籍にはしなかった。今後のことを考えると、学童・BOP・学区の学校等との関わりが必要だと思う。

普通級:小学校3年生。現在の学級の人数、41名。入学するまでの2年間、普通級、支援学級を複数校、何回も見学した。その結果、親自身が子どもの立場で考えてみて、ここが良いというより、消去していったら、最後に残ったのが普通級という選択だったと思う。
就学時健診は単なる健診というより、「障がい」のある無し等のスクリーニングの要素があると感じたので、受診しなかった。その代わり、学区の小学校に連絡し、入学したい旨を伝えると、受け入れる方向で話し合いができたが、入学時に校長・副校長が二人とも転勤していたのには驚いた。最初に、子どものためにも、また母親が就労しているので、授業の付き添いは出来ないと宣言し、一度も授業には立ち会っていない。
1クラスの人数が多くて大変だが、いじめもなく、かわいがられて、毎日元気に通学している。担任によってその指導力の違いがわかるが、親としては出来るだけ学校に協力し、他の保護者、級友と話をし、我が子を取り巻く情報を得るように心掛けている。

支援学級:転勤により3歳から大阪豊中市で過ごす。豊中市では「障がい」があっても地域の普通級に入り、教師一人が加配され、学習レベルにあった授業を受けることができた。小学校4年から世田谷区の支援学級に入り、中学も支援学級。現在、支援校の高等部に通学している。

意見交換された内容

★今年度、ふたばの会員は支援学級に入学した人はいなかった。小学校:普通級3 支援校2 中学校:普通級2 支援校2 高校:支援校3 2名未回答(会報9月号参照)
特に、小・中学校では、普通級か支援校かの選択であった。1学級の生徒数でみると、普通級 最大40人、支援学級 8人、支援校 6人と、この人数の違いは大きい。

★普通級に入学した2名の方から、入学後の授業に親の付き添いを学校から要請された話が出ました。5月の連休まで、毎日、終日お父さんが付き添った話には皆驚いてしまった。現在は、付き添いはせず、学校側が支援員、アルバイトの先生の補助で行っている。

★支援学級については、就学前に見学しているが、障がいの違いもあり、手のかかる生徒に指導者がかかりきりで、バランスよく教室運営がされていないのを見るとなかなか選択することができなかった。

★就学相談は受けなければならないと言われるが、発達テストや面談を行い、ダウン症については、支援校、場合によっては支援学級という判定で、個別の状態等を考慮した相談というより、事務的な対応に感じられた。判定に対して、普通級を望んだ場合は全く協力してくれるような対応は見られなかった。

★この10年、学校教育法をはじめとして、いろいろな法律が改正されている。障害者基本法、発達障害者支援法、障害者自立支援法、学校教育法施行規則、学校教育法施行令一部改正・・・学校教育法施行令改正(H19年3月)により、障がいのある生徒の就学先の決定の手続きが見直しされた。これまでは、障がいのある生徒の就学先を決定する際には、世田谷区教育委員会が専門家の意見を聴いて決定することとされていたが、この改正により、保護者の意見を聴くことが法令上義務付けられたので、我が子の就学先について、親は意見を述べる心づもりが必要。

★現在、歯科医の摂食指導により、ペースト状の食事しかしていないが、学校に入学したら、給食で調理上配慮されるだろうかという話に、31名の参加者中3名の方たちが同じ指導を受けていた経緯が語られた。現在も継続してペースト状の食事をしている会員は固形物を受けつけないので、どうしようかという深刻な問題も投げかけられた。

★普通級、支援学級、支援校等それぞれメリット、デメリットがあるが、選択にあたり、我が子をよく理解し、子どもの立場になってやっていけるか否か考えて、親自身ができないことを子どもにさせるのは・・・という考えも必要。

★就学、学校終了後の生活、就労・・と長いスタンスで子どもの成長を見守り、いろいろな選択肢を見いだすためにも、親として情報を収集し、適切な選択ができる養育態度が重要。

【分科会報告】

小学校就学:質疑応答形式で進めた。これから就学予定の方や世田谷区に転居予定の方から次々に質問が出ました。学校、校長によって対応が異なり、臨機応変に対応しなければいけないが、多くの情報が得られたのではないかと思います。共通の意見としては、就学前も後も、自分の子供の事をよく見てあげる事が大切だという事でした。又、現在小学校に通っている方は、学校の情報交換の場にもなりました。

中・高校就学: 参加者 中学部2名、高等部2名でした。高等部在学の参加者からは学区に関すること、カリキュラム、学校生活などを、中学校在学者からは進路決定に向けての現状を報告し、情報交換をしました。これまで何度か進路に関する決定を経験した参加者の話を聴くと、これまでも、これからも常に自分の子どもの状況をよく見て、選択していかなければならないという事を改めて気付かされました。

【まとめの全体会】

就学時健診:世田谷区より10月以降にお知らせがきます。世田谷区は健診をやる義務 が法律で決められていますが、受ける側は、受けなければならない義務はありません。子ども、親の一番良い状態で、学校との出会いがあるよう考えてみてください。

問題点の整理:(1)選択できる学校、学級について知る (2)学区、地元の学校を中心に見学してみる 学校公開日・授業参観日等 (3)支援校、支援学級で普段どんなこと、どんな学習をしているか知る (4)我が子の様子、状態を客観的に理解、認識するよう心掛ける (5)子どもの就学希望を親としてまとめてみる

今後に向けて:ふたばの会員同士、同学年、同学校等の横、縦の繋がりを持つように心掛け、子どもたちがより良い教育環境で学校生活が送れるよう情報交換を行うことが必要。

最後に
 以上、3時間以上にわたり、話し合われました。また、参加できなかった方より相談会の記録を読みたいとのご要望もありましたが、誌面の都合上、割愛した部分もあることを付け加えておきます。就学アンケート報告、相談会資料若干残部があります。必要な方は、次回役員会(10月3日)でお渡しできます。ご連絡下さい。また、ご都合のつかない方は地域リーダーにお渡ししますので、ご連絡下さい。



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