懇談会報告  思春期の課題・・人格形成と性教育・・
研修担当 S.

 11月26日、総合福祉センターに於いて、参加者12名で懇談会をもちました。性に関する話し合いを持ったのは、会として初めてかと思います。参加者の子どもの年齢も、4〜24歳、親の年代も30〜60歳代と幅広く、性に関する感じ方、考え方の違いも実感しました。今回は、会員から支援学級での性教育の現状の充実を願う問題提起がされ、懇談会を企画したのですが、学校での指導の在り方の前に、まず親としてどのように我が子の性の問題と向き合うか、が中心的に話しあわれました。

 準備した資料は、「知的障害児に対する特別支援学校における性教育実施の状況と、教諭と保護者の意識」(原 恵美子) 「思春期・青年期の性教育」(永野佑子) 「お父さん、出番ですよ」(山本良典) 「性教育の内容と目標」(山本良典)等です。

 支援学校の保護者の中には、「・・子どもの結婚、出産を望みはするが、実現しないと思っているし、子どもが性行動を学習でコントロールできない、と子どもの性も学習可能性も否定的にとらえ・・」(原)と性教育を不要と考えがちだという報告もありました。学校現場でも、教師の性教育に対する苦手意識や話しづらさを理由に積極的に行われていない現実があるようです。2011年から小学校で実施される、新学習指導要領には、幼稚園から高校までの性教育が明記されています。3つの柱は「性自認」「男女の人間関係」「家庭社会の一員」です。また、支援学校、支援級も同一学年の学習内容に準ずるとあります。

 今回の懇談会のまとめとして、「知的障害児に性や人間関係といった概念を言葉だけを通して全て理解させることは限界があるが、彼らが安心して社会参加するためには最低限の知識や行動様式の学習機会を保証することが必須である」(原)また、「家庭での保護者による性教育は性的現象への手当の方法の伝授に終始しがちな事を保護者自身が自覚し、性に関する新しい視点を獲得できるよう、情報提供を受けられる環境を行政などが整備すべきと思われる」(原)と、子どもの性に関する成長を受け入れ、肯定的にとらえる親の養育態度についても話し合うことができました。以下、参加者からの感想です。ご一読下さい。


★大変勉強になりました。娘はまだ5歳ですが、必ずくる思春期に向け、親自身も心の準備をしておく機会になりました。 Y.

★子ども一人ひとり違うので、学校で一律に性教育を望むのは難しいですが、小学生なら女の子に生理の手当を教えるときに、男女の区別や体の違いを教えてもらうとか、中高校生の場合は、痴漢や性暴力の被害者にならないためにはどうしたらいいかを学ぶとか、切り口を工夫するとある程度まとまったグループに対してでも話しやすいかも。男の子の場合は、トイレやお風呂場での様子を知るのは母親では無理とのこと。父親や兄弟、学校では男性の先生やクラスメートから教わることが多いのでしょうね。信頼できるお兄さんヘルパーを見つけておくのもいいかもしれません。 O.

★とても勉強になりました。資料も初めて目にするものでした。11歳の娘の母として、思春期なんて、まだまだ先の話と勝手に思っていたのんきな母で反省しました。対応は健常児同様、一人ひとり違うが、来る時期に備えて、心構えができて良かったです。 T.

★思春期のお話は大変勉強になりました。息子はまだ6歳ですが、今からでも思春期を見据えて出来ることがあることに気づきました。男の子なので、パパと一緒にお風呂に入るなど、夫にもいっぱい育児参加してもらおうと思います。また、懇談会でも話しに出ましたが、男性だけの交流会や合宿など大変有意義だと思いました。ぜひ、父親の会でも取り上げていただきたいと思います。 T.

★思春期の問題について、身近な観点から気軽に話し合えたことが良かったと思います。先輩のお母様方のお話が参考になりました。私の子どもは4歳でまだまだ遠いことと思っていましたが、まずは親を含め周りが関心を持ち始めることが大切だと思いました。 I.

★資料、皆さまのお話ともに、大変参考になり、今後もぜひ、定期的に続けて集まりをしていくべきだろうと思います。今回、一点思いましたのは、男の子をお持ちの方の集まりと、女の子をお持ちの方の集まりと、別々に設けてみることがあっても良いのではと思いました。普通に教えるのさえ容易でないことを、さて、我が子のサインを見逃さず、良いタイミングで母親はもちろんですが、父親、学校との協力、第三者(シッターさんや大学生のお姉さん、お兄さん)の自然なかかわりの中での協力も必要であろうと思います。(中略)下手をすると、性犯罪に巻き込まれたり、加害者になってしまう可能性も含む知的障害者の性については、親として悩ましいところです。考える機会づくりとして、集まりがあれば参加したいと思います。 Y.

★今回、このような会を持ったのは初めてだったのですが、いろいろ思い、期待、解決を求めて参加していらした方と何をどう進めていくのが良いか、手探りの中で「とりあえず一回やってみる」との開催となりました。Yさんの言われるように子どもの男女別に分かれて話しても良かったのではないかと思いました。「父親の参加が必要」との意見が出ましたが、我が家でも参考になり、考えさせられることもありました。 M.

★(前略)私自身は深く考えずに中途半端な意見を発言し、反省しています。いざとなると他の話題より、話しにくいと感じました。ぜひ、父親にも重要性を認識してもらい、具体的に実行してもらいたい事項だと思います。以下、今後会を継続的に持って頂けるならば・・(1)親自身が持っている性教育の具体的イメージの聴き取り(自己の解放?) (2)これからの学校教育現場での性教育を知る (3)性教育の家庭の役割:父親、母親の役割、兄弟、姉妹との関わり (4)一生涯に及ぶ性とのかかわり (5)性と虐待 (6)性同一性障害(注等略)以上の感想です。 I.



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