日本ダウン症療育研究会の報告
烏山地域 H.

 2月19日(土)に行われた研究会を聴講しました。「ダウン症のトータルケアについて、関連する多職種が共に学び、その研究・開発の成果を現場に還元することを目的とした」研究会だそうです。そんなことも知らずに行ってみたわけですが。いろんな医療機関、療育機関、教育機関、研究機関のさまざまな試みの発表を聞くことができました。発表そのものの要約をお伝えすることは手に余るので、どなたがどんな発表をされたのか、と、自分でふむふむとメモに記した情報をご報告します。
  • 東京逓信病院小児科の小野正恵氏 あいさつ。「塚口病院(兵庫)藤田先生考案のダウン症児赤ちゃん体操を東京でも始めることになり、それを記念して今回の研究会を東京で開きました」

  • 相模原市の民間子育て支援センター「ふぁみりいさぽおと バンビーノ」(http://fs-bambino.com/home.html )の発表。系列の小児クリニックが持つ一般外来、発達相談外来と「3つでひとつ」のユニークなサポート体制。藤田式赤ちゃん体操を月一回開催。5年間で80組。グループではなくマンツーマンで行うのが特色。1回3500円。

  • 金沢医科大学病院遺伝子医療センターの発表。石川県におけるダウン症の情報システム「ダウン症聞くまっしシステム」(http://www.kikumasshi.com/kikumasshi.html )紹介。医療・福祉・教育・親の情報交換、共有ができるシステム。センターで開催する赤ちゃん体操教室を、聞くまっしを通じて知った多くの県下の保健士さん他が見学に訪れ、赤ちゃん体操が広まったという事例。

  • 大阪市更生療育センターの発表。活動全般の紹介。ダウン症を中心として、乳児期からマンツーマンで早期療育を指導する「外来グループ」、および肢体不自由児と知的障害児それぞれの通園施設を持つ。「大阪市から受注した事業としてやっている」ため、無料。

  • 東京逓信病院小児科。ダウン症児の赤ちゃん体操教室開設5年間の経過報告。5年で80名。月2回開催。独歩3歩平均:月齢25.3。

  • 杏林大学病院(三鷹市)柴田医師の発表。「ダウン症外来」というのをひとりで10年やっている。ダウン症児の笑顔にホレて半分趣味で始めたものだった。人手不足が悩み。

  • 千葉市療育センター高橋医師。ダウン症の甲状腺機能異常について。「ダウン症児すこやかノート」(メディカ出版)は必携。ここに載っている成長曲線を常に気にすると異常の検知に有効。後天性甲状腺機能低下の場合、身長の伸びが5歳くらいで止まり体重だけ増える。ゆるやかに顔がムクむ。ホルモン投与で治療する。バセドウの場合、食べても体重が増えない。暑がり、汗を多くかく。

  • 聖路加国際病院小児科真部医師。血液疾患(白血病)について。ダウン症児の約1%が白血病にかかる。知ってほしいことは、「白血病は治る病気になってきている」ということ。

  • 塚口病院小児科藤田医師・野中医師。「ダウン症児の赤ちゃん体操」とその実践法。正しい姿勢で歩行を習得させること(早く歩けるようにする、ではなく)と、赤ちゃんのゆるやかな発達を親が認識することで、親の覚悟を育てること、を念頭に開発された。9ステップずつの4系列から構成されていて、月齢に関係なくその子が各系列で何ステップ目にいるかを常に見直しながらメニュー(レシピ)を組む。独歩習得で卒業。「腹ばいからお座りへ移る時のコンパスの出現を予防するレッスン」や「背中が丸くならないようなレッスン」を、ビデオを使いながら説明されました。ポイントは「ひざ、足裏、背中」だそうです。
以上  .


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