「ダウン症のお子さんの子育てについて」  長谷川知子先生講演
平成26年度ふたばの会定期総会報告

心理的に自立した大人・良き市民になること。
よい人生を送るためには何が必要かということを考えていきたい。
として、約2時間にわたりご高説いただきました。


心構えとして、以下のようなお話をいただきました。

子育てに必要なものはたっぷりの愛情と毅然とした大人の態度。
●ダウン症の影響の多くは単なる特徴に過ぎず、病気や障害ではない。人類の多様性のひとつ。
●普通の子育てをしっかりして、ダウン症の部分の特徴に対しても理解していくという二つの事を同時にしていくことが重要。

療育するにあたっては、親御さんの情緒が安定していることや、豊富な生活体験が必要となる。
●療育はもともと脳性麻痺患者の為に出来たものなので、そのままダウン症者に当てはめることは出来ない。
●間違った療育をすると副作用が出てくる。障害を作る療育、遅れを作る療育となる。
●幼児期は人間の基本となる土台を作る時期である。それを忘れて早期療育をしてしまうと、土台が小さいまま積み上げて行って、何かのきっかけで崩れてしまう。

我が子と子育ての専門家になって欲しい。 人任せにしてはいけない。
●ダウン症だけを見るのではなく、ダウン症は本人を構成する一部でしかないのだから、全体を見て、対応することが必要。
●よくある専門家はその部分での専門家でしかない。
●何でもわかる必要はない。何が自分に出来て、何が自分に出来ないか、何を誰に相談したらよいか相談出来ればよい。
●子供が緊急事態に陥ったときに、何するべきか、どこ行くべきかを、普段から知っておくべきである。

また、具体的な手法として、以下のようなアドバイスをいただきました。

発達の順番を知っていく事、行動の先回りしないで待ち、物事の理由をきちんと説明をする事が重要。
●自由に考えているときに教え込んでしまうと、教わればいいと思ってしまい伸びない。
●口と手を先に出してしまうと、本人が自分ですべきではないと勘違いしてしまうので、自分ですべき事は自分でさせるようにする。
●100%出来たことは誉めない。出来ていないとき、辛いときに誉める。

目で見て理解できる工夫が大事。
●ダウン症者はビジュアルラーナー(目で学ぶ人)という言葉があるくらいなので、目で解るように出すと良い。文字と絵とか、写真とか。言葉にしても、親御さんが目の前で文字を書き、書くことを知らせ、目の前の物と合わせる。
●色々と複雑な事も理解出来るということを理解すること。
●全体がわかると部分がわかる。全体を見る力はある。細かい部分を理解するのは苦手。

当日は会員、一般の方合わせて60名以上が聴講し、大盛況でした。



ふたばの会ホームページ