赤ちゃん体操講師の なかたに やすこ です 

 月1回、日曜日に総合福祉センターで赤ちゃん体操を行なっています。毎回10組ほどの親子の皆さんと一緒に、ベビーマッサージ、赤ちゃん体操、ふれあいあそび、音楽あそび、絵本の読み聞かせなど、楽しい時間をすごしています。日曜日ということもあって、おとうさん方のご参加が多く、ただ見ているだけでなく、少しでも赤ちゃんとふれあおうとマッサージや体操に積極的に取り組んでいらっしゃる姿が印象的です。

 乳幼児期は、子ども(赤ちゃん)との愛着関係を形成する大切な時期であり、信頼関係を育む上でも大切な時期です。この時期にしっかりと親子の信頼関係を築くことは、学童期や思春期に起こる問題を親子で乗り越えていく大きな力になります。マッサージや体操は赤ちゃんの発達・発育に良いのはもちろんですが、何よりも大切に考えたいのは、赤ちゃんとおとうさんやおかあさんがふれあって、互いに心地よい時間を持つということです。

 肌と肌とのふれあいは赤ちゃんにも、おとうさんやおかあさんにも安らぎをもたらします。また、赤ちゃんとふれあうことで、赤ちゃんの体調や機嫌、欲していることなどが、おとうさんやおかあさんに感じ取りやすくなり、適切な対応ができるようになります。そうなると、赤ちゃんは要求にきちんと応えてくれるおとうさんおかあさんに愛されていると感じ、信頼するようになります。

 この親子の信頼関係が子育てする上で最も大切なことではないかと、私自身の子育てを振り返っても強く感じています。

 子育てという長い旅路のスタートに立たれた皆さんの、少しでもお役に立てればと思っています。皆さんとご一緒に楽しく実のある交流の場を目指してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


【ベビーマッサージ】

 マッサージには大きく分けて2通りのやり方があります。
1.脳・脊髄を中心におき、中心から外側へ向かって行うやり方
2.心臓を中心におき、外側から心臓に向かって行うやり方
 [1]は皮膚の表面を優しくマッサージすることで、、主に神経に働きかけ大脳の発達を促します。[2]は筋肉をしっかりマッサージすることで、筋肉・血管に働きかけ血行を良くします。赤ちゃん体操ではこの2種類のマッサージを交互にやっています。

 マッサージは体操の前のウォーミングアップでもあります。心と体を目覚めさせ、体操へと導いていきます。気持ち良くなって眠ってしまう赤ちゃんもいますが、それは赤ちゃんの眠りのサイクルとちょうどタイミングがあったのですから、そのまま眠らせてあげてくださいね。

 マッサージで特に大切にしたいことは、やはり赤ちゃんへの声かけや共感です。「ちょんちょん、プルプル、すりすり〜」「あんよ気持ちいいね〜」「楽しかったね〜」などの声かけや共感は、赤ちゃんの「きもちちいい〜、たのしい〜、もっとやってほしい、もっとからだをうごかしたい!」という気持ちを呼び覚まし、能動的な体操へと導いていきます。こうした声かけや共感もなく、ただ機械的にやっているだけでは効果も半減してしまうでしょう。なので、おかあさんや、おとうさんの体調の悪い時には無理してやらない方が良いのです。オムツ替え・入浴前のついでや、寝る前などにちょこっとやるとか、赤ちゃんが便秘気味の時はお腹だけ、痰が出にくそうだから背中と胸だけ、といったように気持ちを楽にしてやってみてください。

 赤ちゃんに寄り添って共感することで、赤ちゃんの心は育っていきます。心の育ちと体の育ちは密接にかかわり合っていますが、心の育ちは見えにくく、つい大人は目に見えることだけを評価しがちです。目に見えない心の育ちがあってこそ、心身ともに健やかに成長するのだということを、心しておかなければならないと思っています。


【赤ちゃん体操】

 赤ちゃん体操の目標は『正しい姿勢で歩く』ということです。人間はまっすぐに立って二本の足で歩く(直立二足歩行)動物です。そうすることで大脳が発達してきました。
 人間が立って正しい姿勢で歩くためには様々な動きが必要です。赤ちゃんは、首が据わる〜寝返り〜お座り〜ハイハイ〜つかまり立ち〜立つ、といった発達の道筋を辿りながら、歩くために必要な動きを身につけていきます。赤ちゃん体操はそのための手助けとなるもので、神経や筋肉・関節等に働きかけて、赤ちゃんが自発的に体を動かすことができるように導きます。

 発達に応じた動きを引き出すためには、赤ちゃん一人一人の発達に沿った体操を行なうことが大切です。決して焦らず、先を急がず、です。また、赤ちゃんの意欲を引き出すためにも無理をせず、赤ちゃんが体を動かすことが楽しい!心地よいと感じるように、ことばをかけたり、歌を歌ったりしながら行うことも大切です。
赤ちゃんによっては殆どハイハイせずに立ってしまうこともありますが、そのような場合はお馬さんなど四つ這いになる遊びを取り入れて、後で補ってあげると良いでしょう。

 赤ちゃん体操の会で一人一人にきめ細かく対応するのは難しいのですが、赤ちゃんが気持ちよさそうに声を出したり、手足を活発に動かしていたり、おかあさん・おとうさんたちが笑顔で楽しそうにされているのがなによりだと思っています。




[赤ちゃん体操講師プロフィール]

なかたに やすこ
チャイルドボディワーク・セラピスト(チャイルドボディワーク普及協会認定)、表現活動インストラクター、保育士、Atem-Tonus-Ton呼吸法・発声法指導。桐朋学園芸術短大演劇科卒。日本演劇教育連盟会員。二男の母。親子(赤ちゃん・幼児)サークル、知的障がい児の表現活動等に携わる。

加藤 沙織
ピアノ、音楽あそびコーディネーター。専門学校にて音楽療法やリトミックを学ぶ。現在は、障がい者の余暇活動グループの指導員をしながら、音楽療法の現場、親子サークル、即興音楽活動に携わっている。